[DVD] おくりびと
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これもやっと、、、やっと観ました。
もうずいぶん前に、多くの人から勧めれていたけど、
なかなか見る機会がなくそのままになってました。
おくりびと・・・
モッくん主演、滝田洋二郎監督作品による、納棺師の話しです。
原作に感銘を受けたモッくん本人のたっての希望による映画化のようだ。
ただ、原作者の意向とは結末が違っているため、
原作とは別物という位置づけで映画化したようです。
(万物の永遠というテーマから離れ人間中心主義で終わっている、とのこと。)
確かに自己の家族や子孫を思いやるという人間愛をメインに終わってるけれど
作品全体にはしっかりと何か人間以外を含んだ大きな愛情が
表現されていたように思う、素晴らしい作品だ。
常々思うのだけれども、人の「生」を見つめるためには、
同じように現実の「死」を受け止めなければいけないと思う。
現代社会では、死を連想させるものは、放送禁止になり死体も死骸も見せない。
ただ、数字だけでこの戦争では何人が死にましたとか、日本人の前年の自殺者数は
3万人です。。。みたいなことがパンフレットの文字を読むかのように出てくる。
食べ物に関しても、牛肉がついさっきまで生きていた命であることは見せない。
現代社会の中では、「死」っていうのはどこか仮想のできごとでリアリティーがない。
だからこそ、生きることにもリアリティーを見いだせないのじゃないか。
前にちょっと武士道を勉強したのだけど、武士道って死ばっかで暗いんですよね。
いかに潔く「死ぬか」みたいなね、ことばっかりをグダグダ言うわけですっ!
でも、同時に潔く死ぬっていうことは、その瞬間をどう生きたか?に集約されてくる。
死に目を向けることは同時に現実の生に目を向けることなんじゃないか。
主人公のね、納棺師が初めて死体を目にした晩に、
家に帰って無性に妻の裸体にしがみつくシーンがあるんです。
これを見てると、死体から見えてくる生身の人間ってのがあるんだと思うんです。
地球っていうのは生身の肉体には酷な環境で、数週間もほっとくと腐ってしまう。
生身の生物が生きているっていうのは、なんだか奇跡のようでもある。
・・・もう一つ好きなシーンがある。
納棺師の社長さんがね、河豚の白子を焼きながら
「生き物っていうのは、死なないと決めたからには、他の生き物を食って生きてる。」
(白子を差して) 「こいつも、亡骸だよ?」などと気味の悪いことを言う。
「でも、どうせ食うなら旨い方がいい!!」(といいながらウマそうに白子にしゃぶりつく)
「困ったことにこいつが旨いんだ!」
僕らの生は、僕らの想像を絶するほどの
限りない生と死の循環の積み重ねの中にあるのだ。
それを輪廻だとか、宗教だとか言っても構わないけれど
きっとそれは、もっと単純でより壮大なひとつの意思なのだと思う。
そういった、無限の万物への感謝。
あるいは、もっと身近な家族へのありがとうの気持ち。
納棺師のような、ありがとうと言われるほど哀しくなる感謝もある。
あることがあまりにも当たり前で言葉にすらならないありがとうもある。
なんだか、とっても単純で壮大な宇宙のなかで、
僕ら人間はこんなにも小さく複雑なありがとうを抱えて生きている。
結局、確かに原作者がいうように、最後は人間中心の(ヒューマニズムというらしい)
結末に落ち着いてしまうんですが、そこはやっぱり映画ですからね。
僕は、物語としてはアリじゃないかなという気がします。
ちゃんと伝わっているんじゃないかなぁ。。。(原作読んでないけどね^^;)
やーー、なんかほんと涙腺がだいぶ緩んだ映画でした~~!
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Category:映画 |
Date:2010/03/29