[DVD] キャピタリズム
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久しぶりにDVDをみた。
マイケル・ムーア監督の『キャピタリズム』ってドキュメンタリー映画。
前から見たかったわけではなく、タイトルにひかれました。
でも、これかなりおもしろいよ?
マイケル・ムーア監督といえば、アメリカ同時多発テロを題材にしたドキュメンタリー
『華氏911』が最も馴染み深いでしょうか。
僕は見たことないのですが著名人を手玉にとったような過激な演出が印象的な監督です。
今回初めてこの監督の映画を観ましたが意外に本作に関して
僕はそれとまったく逆の印象を受けました。
過激な表現はそこかしこに見られるけれど、、、これはとても繊細な映画だと思う。
弱者の不当な扱いに対する深い悲しみと、
社会に対する強い憤りがこの映画制作の原動力ではないかな…。
もちろんこの映画はキャピタリズム(=資本主義)を根本から否定する映画。
当然、映画の内容や意見には相当の偏りがあるのは確かだと思う。
それでも社会の常識という名の下にはびこる「非常識」を痛烈に批判し、
そして意図する・しないに関わらずその社会の歯車の一端を担う我々自身に
その責任を真っ向から問う。
監督自身がこの社会の加害者そのものであるという絶望感が伝わってくる。
僕らの選択する未来がどこにあるのか観客自身に未来への手綱を投げ掛ける。
数百年後の未来。現代社会はどのように評価されるのだろう。
このシンプルな問いから映画は始まる。
腐敗の進んだかつてのローマ帝国と現代社会をダブらせ、
僕らの視点をなるべく客観的なレベルに引き離そうとする。
僕らの意識は毎日当たり前に繰り返される日常にいとも簡単に紛れてしまうから。
公平な競争と自由市場が皆に平等な成功の機会を与える、と僕らは信じてきた。
今、じっくり考えてみる。
平等な機会が与えられた結果、僕らの社会には1%の裕福層と99%の持たざるものを生み出した。
これはほんとうに平等な機会が与えられ、常識的な範囲での努力が実った結果なのだろうか…。
あるいは一握りのエリートにより刷り込まれた正義だったのだろうか…。
当たり前に生活する僕らはそれを判別する分別をすでに持たない。
金融、株式、保険、サラリー、成果主義、はたまた個人情報保護の仕組みすら、
それらは本当に僕ら民衆の幸せを目的に作られたものなのだろうか?
僕らはそうやって知らぬまに搾取される大多数の99%なのかもしれない。
映画は僕らが不幸な市民であることがわかったくらいでは終わらない。
僕らは搾取されるだけの悲しい市民ではない。
この巨大なピラミッドの底辺で更に低い身分の人間を搾取する歯車の一員なんだ。
すでに繊細な心をもった人は漠然と気づいているのかもしれない。
僕らが会社のためにそして社会のために働き続けることで
世の中はますます改悪しているという衝撃に。。。
しかし、悲観ばかりでもない、僕らは大多数なのだ
99%の大多数の大衆にもきっとできることがある。
そしてなにより、僕らは自分達の未来にいったい何を選ぶのだろう。
是非、一度鑑賞してみてください!
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Category:映画 |
Date:2011/03/22