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一万年の旅路(ポーラ・アンダーウッド)

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米国の街を旅して思ったことがある。北米大陸というのはほんっとに何にもない。歴史的由緒ある宮殿があるわけでもなく、神秘的な古代遺跡があるわけでもない。。。まぁ、建国して数百年の国ですから、そういうもんなんだろうと単純に思っとりました。えぇ、この本を読むまでは。。。

一万年の旅路この本は、アメリカ先住民が一族の数万年にわたる歴史と学びを口承により伝え続けてきたもの。その信憑性ばかりが議論されているようですが、一旦彼らの洗練された精神に目を向けるとその文化レベルの高さには目を見張るものがある。通常僕らは民族や国の文化レベルを推し量ろうとするとき、遺跡や建造物など「モノ」を見る。ところが、そうすると彼らのような"「モノ」を残さない文化"の偉大な精神は見過ごされてしまうことを痛感した。この口承伝は子孫がより安全に、より末永く生存しつづけるための知恵の蓄積に他ならない。その意味では歴史的信憑性というよりも、その学びの深遠さにこそ目を向けるべきだろう。森や自然だけでなく、動物や人間(他部族)、その他自分たちを取り巻く全ての環境と共存し共に末永く生き延びるために。2度と再び同じ過ちを繰り返さないよう、そして子孫が安泰して暮らせる世界を想いながら「学びの歌」として多くの経験と教訓が伝えられてきた。日々のいかなる経験をも「学び」として受け止める彼らの徹底した姿勢には、長い歴史の中で培われてきた崇高な精神を垣間見ることができる。そしてなぜかどこか「懐かしい」のです。

話が前後してしまいますが、北米大陸を東西に横断したときのことをフッと思い出した。押しも押されぬ世界有数の先進国でありながら、米国には今でも驚くほど雄大な自然が広がっている。一面の真っ青な空と大地とを隔てる地平線がどこまでもかなたに広がっている。西へ西へと数日かけて車で移動したのですが、西へ進むたびに気温が上がり、空気が乾燥し、目に見える植物の種類が移り変わっていく。まさに歩みとともに「地球」の呼吸を肌で感じた数日間だった。その広大な情景に心を打たれたときのことが今また思い出される。そこには、何万年という長い歴史の中で、手付かずの自然環境を残し自然と共存することに心血をそそいだ民族がいたことが今ならわかる気がする。。。

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Category: | Date:2006/12/23


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