トラップ・ファミリー・シンガーズ
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映画「サウンド・オブ・ミュージック」って実話を元に作られています。この映画にでてくるフォン・トラップ家の子供たちってまだ元気なんですっ。NHKの特集で次女のマリア・トラップ(92)が特集されてました。おもわず見入っちゃいました。ヒトラー政権下、ナチスの侵攻にあってあっという間に占領下に置かれた祖国オーストリアの話などが生々しく語られました。悲劇のストーリーであるのに、いつまでも笑顔が耐えない。どことなくマザー・テレサを思い浮かべてしまう、すこしお茶目で素敵なおばあちゃん。今でもアコーディオンを手にとってオーストリアの民謡を歌って聞かせてくれます。
映画では、長女の恋人がナチス党員という設定でしたが、実際にはトラップ一家にずっと仕えていた若い執事がナチス党員で、トラップ一家をスパイするように命じられていたそうです。しかし、執事は自分がナチス党員であることを打ち明け。結果的にはトラップ一家の亡命を援助することになったのだとか。映画のラストシーンは、♪Climb Every MountainをBGMに一家で山を越えて亡命しますが、実際にはもてるだけの荷物をもって列車で亡命したんだそうです。「父に言われて、最後に(もう2度と帰ってこない)家の玄関に私が鍵をしたの。どうして父がそれを私にさせたのかわからないけど、よく覚えているわ。」こんな話をするのにも、家族の思い出を語るかのように楽しそうな笑顔がとても魅力的。
トラップ一家のその後についてもとても興味深いんです。当時、オーストリアで有名だった彼らは講演依頼を口実にアメリカに亡命します。そしてアメリカを舞台に音楽活動を始めます。そのときのグループ名が「トラップ・ファミリー・シンガーズ」。しかし、言葉もわからず文化も違うアメリカでの成功は簡単じゃなかったようです。1人1ドルのレストランに高くて入れなかったんだとか。しだいに、戦況も変わってきます。アメリカが参戦することになり、彼らは敵国から渡ってきた敵性外国人として扱われたそうです。そんななか弟は米兵として母国オーストリアの兵を相手に戦いに行くことを決意します。「オーストリアと戦ったのではないわ。ナチスと戦いに行ったのよ。」とそのときだけ、すこし悲しげな目をしたのが心に痛かった。
CD:トラップ・ファミリー・シンガーズ
映画「サウンド・オブ・ミュージック」は、この時のトラップ一家の話を母マリアが描き上げた自伝がベースになっています。母マリアも父も既に他界されてますが、彼らの育んだ音楽と一家の絆は今でもしっかりと生きているのだと感じさせられました。そんな大家族が異国の地で必死で生きてきた生活を生き生きと語れる、どこまでも幸せそうな瞳が忘れられません。
サウンド・オブ・ミュージック アメリカ編
(Modern Classic Selection)
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Category:一般/日記 |
Date:2007/03/21