歌舞伎座
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今回見た演目の中で、やっぱり一番印象に残ったのは、橋之助の慶安太平記(けいあんたいへいき)。徳川家綱に対して謀反を企てようとした丸橋忠弥のたくらみが漏れてお縄にかかるんですが、最後の立廻りがみどころ!なんかね、歌舞伎って非現実的じゃないじゃないですか?表情とか衣装だけじゃなくって、動きも全部デフォルメされている。刀で切ってないのに、刀を向けただけで切ったと「みなして」いるんでしょうね。刀をかざすだけで、敵が映画:マトリックスのように、ポンポンポンポン倒れていくんですよ。なんだか、最初は妙ちくりんな劇だなぁと思いました。しかし立廻りが終盤に差し掛かるとだんだん、戦いもエキサイトしてくるんですね。するとなんでしょう。リアリティーだけでは追求できない部分を「みなし」ちゃうことで返って舞台に想像力が膨らみます。大きな動きの流れの中でその瞬間の生きた表情を切り取って見せてくれる。素で歌舞伎すげーって思いましたよ。
日本人ってエンターテーメント好きな国民なんでしょうね。歌舞伎ってその辺面白くって、そこかしこに観客の参加ポイントがあるんです。劇中に「決め台詞」とか、「決めポーズ」があるんですよ。これも一種のデフォルメだと思うんですが、戦闘中に「カッ!」っと、いきなり止まって、役者が大げさにポーズを決めるんですね。そうすると観客がワッと沸くわけです。「中村屋!」とかって掛け声がかかったりするお馴染みのあれです。ちゃんと観客がワンヤワンヤと騒げるポイントを作ってくれているんですね。ストーリーよりもこんな観客主体の演劇なんて世界にはないんじゃないですかね。だって、戦闘中に当たり前のように劇が止まるんですよ!ありえないですよ。またね、それがほんと劇画チックなんですよね。まるで絵を見るようなんですよ。舞台にいる全員がその主役の姿を引き立てるように見事に連携するんです。その瞬間の人物の生き様をドラマチックに切り取ってみせる。舞台全体がひとつの完成された絵のよう。是非劇場でこの体験をしていただきたいっ!歌舞伎すげー。また、行ってみたいですね。
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Category:一般/日記 |
Date:2006/08/13